長崎県美術館
2014年10月9日(木)より開催します。
開館時間 10:00~20:00(最終入場19:30)
休館日10月14日(火)、27日(月)、11月10日(月)、25日(火)
「風を食べる!?」
この秋、長崎県美術館に謎の生物"ストランドビースト"が集結する。"ストランドビースト"とはオランダ語。英語に訳せば"ビーチアニマル"、日本語では"砂浜の生物"。オランダの鬼才テオ・ヤンセン(1948~ )が生み出したプラスチックチューブ生命体だ。砂浜を動きまわる彼らは何と「風」を食べながら生きている。彼らの目的はただ一つ「生き残ること」だ。
「進化する!?」
当初、ストランドビーストは一本の線の形を持ったコンピュータ上の仮想生物として誕生した。その後進化をつづけたビーストは、ついにプラスチックチューブという現実の骨格と筋肉とを獲得した。そして、砂の上をスムーズに移動するための能力、風に飛ばされないための能力、浜辺に打ち寄せる波に飲まれないための能力などを進化の過程を経るごとに獲得してきた。現在も「遺伝子」や「遺伝情報」を後の世代に引き継ぎながら、生き残りを賭け彼らは進化をつづけている。
今や「胃袋(=プラスチックボトル)」も「感覚器官(=感知器)」も「神経細胞(=チューブと弁)」も「脳(=計器)」も備えるビーストたち。作家が夢見るように、海水面の上昇から故国を救うための砂丘を築くべく浜辺に棲み付き、ゴミ箱から拾い集めたチューブで自ら新しい仲間をつくりだす彼らの姿を目にする日はやって来るのか?
今回の展覧会には世界初公開となるビースト《アニマリス・プラウデンツ・ヴェーラ2世》("はためく帆"の意)がやってくる。17世紀初頭にまでさかのぼる長い交友の歴史を持つ長崎とオランダの関係にちなみ、当時の帆船をモチーフに生み出されたビーストだ。その他、初めてプラスチックチューブの身体を持った《アニマリス・ヴァルガリス》をはじめ合計15体のビーストおよび関連資料により、この新種の生物の全貌を紹介する。進化の過程を経た姿。必然性を持つ形のみが放つ美しさを具えたビーストたちは、まさに芸術と科学の融合により生み出された「新たな自然」だ。テオ・ヤンセンの世界を目撃しに美術館へ行こう!
世界初公開 長崎展のための新作 《アニマリス・プラウデンツ・ヴェーラ2世》
長崎展のための新作
《アニマリス・プラウデンツ・ヴェーラ2世》
テオ・ヤンセンは、長崎とオランダの400年に及ぶ友好の歴史へのオマージュとして、特別に長崎展の為に《アニマリス・プラウデンツ・ヴェーラ2世》を制作。日本語で"はためく帆"を意味するこの作品は、当時の帆船をモチーフに生み出されたビーストです。本展での展示が世界初公開となります。
写真/長崎展のための新作を制作中のテオ・ヤンセン ©Theo Jansen
動画をチェック!
下記より、テオ・ヤンセンの作品《アニマリス・アデュラリ》の動画をご覧いただけます。
本作品は、新作《アニマリス・プラウデンツ・ヴェーラ2世》の一部を構成します。